17.04.2017
私は桜がきれいな町で生まれた。
学校にも、通学路にも、近所の公園にもある桜の木は毎年私にその美しさと儚さを見せつけた。有限性なんて言葉も知らない頃から、その意味は桜が教えてくれた。
舞い落ちる花びらをつかめたら幸せになるんだって、と従兄弟が言った。
今が幸せかどうかも知らずに、さらなる幸せへを求めて桃色の空へ手を伸ばした。
幸せになるために、何千と降り注ぐなかのたったひとつを君も掴んだ。
君の靴に踏まれた花びらと手のなかに大事そうにしまわれた花びらの違いはなんだろう。
君が掴まなかった花びらも君を幸せにしていると信じたい。
もしそうなら掴まれなかった花びらでも、十分満足です。
と、言い切るには私はまだまだ足りない。